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第20回 禁煙医師連盟全国大会 北九州
『市民公開講座』、『職域での肺年齢チェック』 抄録

 日本呼吸器学会では、禁煙とCOPDの早期発見に向けて肺年齢の普及を進めている。以下、当院関与の取り組みを紹介する。


 「市民公開講座」2010年3月、北九州を拠点とするドラッグストアチェーンが主催・北九州市共催の健康フェスタ(1200名規模)において、307名(男73名、女234名、平均年齢57.8歳)に10名の薬剤師がハイチェッカーを用い、肺年齢測定を行った。喫煙中、もしくは過去にあり69名、呼吸器疾患の診断あり13名、肺年齢と実年齢の差は10.6歳、50名(16.2%)で20歳以上実年齢との差があった。

 「職域」事務系事業所において、124名の男性喫煙者のみを集め、禁煙支援の講義と肺年齢測定を行った。喫煙者のBrinkman IndexBI469.7±244.1、肺年齢と実年齢の差は19.9±13.5歳であった。30歳台では肺年齢は18.3±12.8歳(BI263.1±98.1)、40歳台では19.9±13.5歳(519.2±197.9)、50歳台では22.0±14.3歳(623.9±299.2)であった。46名(37.0%)で20歳以上実年齢との差があった。
 「考案」軽症のCOPDでは肺年齢が1520歳以上、実年齢に比べて高くなることが報告されている。NICE study(日本の40歳以上の一般市民を対象)でのCOPD有病率8.6%と照らし合わせると、市民公開講座では16.2%、職域での喫煙者では37.0%20歳以上実年齢が高くなっており、加齢と喫煙によりCOPD有病者が濃縮されていることがうかがわれる。
 市民公開講座などにおいては、肺年齢は血管年齢、骨年齢などと組み合わせて測定し、COPDを生活習慣病の重要な位置づけとして認識してもらうことが重要である。また、禁煙支援には肺年齢測定が有効であることが報告されており(Barclay BMJ 2008)、薬剤師や産業保健師にも積極的に肺年齢測定に関わってもらうことが望まれる。さらにプライマリケア医の現場での看護師の活躍も期待される。

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